2006年11月17日

フェニックス

SS 永劫

 力尽きたフェニックスが神殿に赴くのを見るのは稀な事である。

 かの鳥の寿命は600年あまり。生きている間にそれにあたることは

まずない。

 フェニックスは神殿のただ中、元気な間に自身が用意した没薬の中に入り、

息絶える。

 彼を包む炎は自身をも焼き尽くし残るのは灰ばかりだ。

 それを見て落胆するものもいるだろう。いったい不死鳥とはなんなのかと?

 多くのものはここで立ち去る。なぜならこの後にくるものがなんなのか

我々生限られるものには毒のようなものだからかもしれない。

 灰の中、動く何かを見なかったろうか。消えていた炎は灰を燃え上がらせ、再びフェニックスの形を為す。

 だが、それは最初に神殿に来たフェニックスと違う姿。

 そのフェニックスは親であり、自分自身であった時の威厳はない。ただ、若返り雛鳥と化したフェニックスには再び新しい生が始まるのだ。





 

〜エジプト生まれのギリシア育ち〜[由来]

 フェニックスってみなさんどこを想像します?

 自分はギリシアなんです。まあ、フェニックスという言葉がギリシア語でギリシアでなんで当然なんですが。フェニキア、紫、ナツメヤシの三つの意味を持つといいます。フェニキアは地方名ですが、この地の貝からとった染色は紫で王者の色とされました。また、勝者のシンボルとしてのナツメヤシと同一視されるとのことなので、なかなかいい意味を与えられたといえます。さて、言葉の方はそうですが、モチーフとなったのは何かというとベンヌ鳥です。

 ベンヌ鳥は「立ちあがるもの」を指し、オシリス神の心臓から飛び出したカー(霊魂)とされました。オシリス神話は再生の物語であり、その過程を再現したものがエジプトで有名なミイラ作りの技法です。そのためベンヌ鳥は再生をまつ人々、つまり死者の守り神ともされました。

 そんなイメージから再生という意味合いでフェニックスの先祖というにふさわしいと思うのですが、後年はイメージがまた変わってきています。

 いつの間にか生息地がエチオピアに変わってしまうのです。これは美しい鳥の羽がこの二国からもたらされたからのようですが、海獣のイッカクのイメージがユニコーンを作り出したのに似ていますね。





〜不死という象徴〜[余談]

 フェニックスは、蘇生や不死、再生や死の克服といったシンボルとなっています。その言葉で象徴されるものはなんでしょう?

 日本でしたらそれぞれだと思いますが、ヨーロッパではキリストに結び付けられました。

 最初に聖書を整備したオリゲネスの中にその記述を見ることができますから、初期のシンボルといえます。

 鳥でキリストというとペリカンもシンボルなのです。ペリカンという鳥が自分の血を持ってタマゴを孵化させると信じられていました。シンボル的には自らを犠牲にして人々の原罪を清算しようとした

キリストの行為に結びつきます。こちらは犠牲の精神であり、人間性を象徴しました。ではフェニックスはというと、キリストの神の本性を象徴しました。

 フェニックスは、現在、恐らく世界でもっとも良く知られている幻想動物の一つです。初期では存在が信じられていた時代でも常に一羽ということから、見ることができない生き物とされていました。それはペリカンと違い捕らえられないものであり、触れることのできない神を思わせたからではないでしょうか。 と、それらしくまとめてみましたがさらに余談。昔、フェニックスの丸薬っていう薬があったそうです。それは甦ったフェニックスの残していった巣から作ったとされる薬で、有名だったようです
posted by 九十九屋さんた at 22:02| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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