2005年05月05日

イシス

SS 彼女

 私がシシの姿を見つけやのはパリの街角の事だった。

 エクソシストとして多くの悪魔や悪霊を見てきた私にとっても彼女についた悪魔は特別なものだった。

 彼女の所業は聖書にあるシモンに比肩すると思われた。救い主に挑戦したかの錬金術師に。

 ヴァチカンでは多くの神父たちの、聖句も聖水も寄せ付けず、祓いの場でも怯むことなく、女王のように振舞い、悠々と出て行った。

 その彼女が今目の前にいる。まるでどこにでもいるパリジェンヌのようだ。

 私は聖なる短剣を手にとった。油断している今なら倒せるはずだ。いくら呪われた悪魔といえど人の肉体にある間はその檻に閉じ込められたも同然だ。そして肉体を失えば悪魔でさえ、力を示すことはできない。

 シシを追ううちに裏町に来ていた。

 小さな祠を前にシシは立ち止まっている。

 私は意を決っし彼女に向かい飛び込んでいった。

 肉に刺さる感触と流れる血。その感触に短剣から手を離し、後に逃げる。

 シシは私の方を見た。驚いたようなその顔は死を前にしたものではなかった。

「ここは私の街、失敗したね」

 私は思い出していた。パリとはPAR・ISIS、イシスの森から派生したということを。そしてSISI(シシ)のとはISIS(イシス)のアナグラムだと。

 シシ、現代のイシスは笑顔を浮かべ私を見つめた。

 短剣が転がる。彼女の傷口は塞がり、血は一瞬のうちに止まっていた。





〜もっとも力ある女神〜[由来]

 伝説によればイシスは最高神である「ラー」の秘密の名前を奪い取ってから、その権力は神に比肩し、全世界に広がったといいます。世に生きるすべてのものは彼女の血の滴であると。

 それほどまでに言われるようになったイシスとはいかなる神だったのでしょうか。彼女はもともとエジプトの女神です。大地神と天空神の間に生まれ、兄オシリスと共にエジプトの支配者となります。しかし弟神セトによりオシリスは命を奪われ、各地にその躯はばら撒かれます。イシスはそれを集め、オシリスを蘇らします。これはイシスの地母神の性質が示される話ですが、エジプトではオシリスの死体を発見し、保管する様がミイラ作りの思想として残りました。その点だけでもエジプトでメジャーであったのは想像がつきますね。

 さてその後イシスはローマに渡ってきます。ここでは地母神の性質に加え、よく伴侶の為に尽くしたということで理想の婦人として信仰されます。さらに運命を司ると言われるようになり信仰はますます高まりました。

 こうした性質がオカルティストたちを刺激しました。そうイシスこそが宇宙の秘密を解くものとされたのです。これはフリーメーソンやローゼンクロイツにも伝わります。

 イシスの横顔を描いたレリーフがフィレ島に伝わっています。頭は兜をかぶったように大カラスの翼でくるまれています。その中央には月が。両脇からは雌牛の二本の角が竪琴のように月を縁取っています。女神のはだけた上半身からは子供にでもやるようにむき出しの乳房が見えます。これは様々な女性的なイメージの混合ですが、それがイシスという存在を示しているのかもしれません。





〜黒い聖母〜[余談]

 古い教会のマリア像を掃除したとき、いくら洗って白くならず、もともと黒く作られている事があります。黒い聖母と呼ばれる存在です。

 信仰を集めるイシスをキリスト教はほうっておくことはできず、弾圧に乗り出しました。その中でイシスは聖母マリアに擬せられていったようです。それは隠すというよりもキリスト教側がわざと混同したという説が有力です。まるでイシスの神秘の力をマリアに与えたかったように。

 マリアの像が黒い意味には人種的なものがあります。黒は白色人種にとり、異国人というのを示しています。それが黒い聖母の所以なのです。

 現在、黒い聖母はいわれも忘れられ、普通のマリア像として祭られていることが多いのです。世界中には奇跡を起こすとされるマリア像が多く存在しています。

 調べるとその多くが古くから伝わる黒い聖母像だというからおもしろいものですね。

 ある黒い聖母像のある教会では、そのマリアがイシスだということが知られており、こんな言葉が伝わっているそうです。

『終末を迎える時代それは聖母マリアであり、永遠の中ではイシスである』

 何か本地垂迹説みたいですね。
posted by 九十九屋さんた at 08:37| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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