2005年05月05日

アザエル

SS 砂漠の神

 アロンは續罪のためにヤギ2匹を用意し、その1匹を主への捧げ物とした。

祭壇を築きその上がっていた煙は神のもとへと向かっていくのだ。

 アロンはもう一匹のヤギを叩いた。ヤギは驚いて逃げたが、遠くには行かず

また戻ってくる。

 仕方なくアロンはヤギを叩いた。いったい何度叩いただろうか。それでも

ヤギは離れずアロンを見ている。

 ヤギは知っているのだ。こうして殴られたとして荒れ野に逃げるここにいる

ほうがいいことを。

 そうヤギは生きたまま荒れ野のアザゼルの元へ追いやるという形で捧げられ

ようとしているのだ。

 アロンが困りきった時、荒れ野に風が吹いた。

 風は強くアロンの周りを砂煙でふさいだ。

 狂ったようなヤギの鳴き声が響いた。

 アロンが目を開けたとき、もうヤギの姿はどこにもなった。

 アロンは自分が助かったことを主と、砂漠の神アザエルに感謝した。



〜プロメテウスの如き〜 [由来]

 アザエルと言う名には遠くに去るという意味がヘブライ語であります。しかし、これは音が似ていることから後でつけられたもののように思えます。もともとアザエルはシリアの神であり、荒れ野で贖罪のヤギを受け取る神です。恐らくヤハウエが一神教を形成する過程で、悪魔にされた地方の神なのでしょう。またアシズという神がカナンにおり、それがなまったとも言われています。

 では聖書関係では彼はどう扱われているか見てみましょう。

 アザエルは天界の第五天に幽閉されています。その理由は人に戦争の為の知識を教えたためです。なぜ、アザエルが人と接触する事になったのかというとアザエルはもともと見張りだったのです。楽園追放後の人間がさらなる罪を犯さないように神は地上に監視役の天使を置きました。アザエルを始めとする彼らはエグリゴリともウォチャーズとも呼ばれました。ところが彼らは見張りの役を果たさず美しい地上の娘たちと交渉を持ちました。その結果、天にあった神の技は地上にもたらされました。これだけなら人間にとりむしろ良好な事だと思います。ただ、彼らの子供たちに問題があったのです。彼らの子供は恐ろしく巨大でたちまちのうちに食べ物を食べ尽くし、

鳥や魚を食べ、最後には人間を食べ、ついに共食いを始めたのです。地上は阿鼻叫喚のちまたとなり、神は大洪水をおこし地上を滅ぼしました。これがノアの箱舟の背景となる辺りですね。その後、アザエル以下エグリゴリは捕えられ、天界の第五天に閉じ込められたのです。

 人に神の知識を与えたものは捕えられる。まるでプロメテウスのようですね。

  



〜冤罪?〜 [余談]

 結果は同じ物の過程でのパターンが違うものがあります。エグリゴリが地上に来る前に既に地上は悪に満ちていたというのです。むしろアザエルたちは地上の人々を啓蒙しにいったのです。そして彼らと人間との間の子は、優秀で、名高い英雄たちになったといいます。しかし英雄により、住みやすくなった世界で人が増えてしまい、

それに伴って悪が増えると結局はノアの洪水は起こるのです。

 その流れを受けたのか中世、アザエルは人間に取り付いて悪行を唆す存在になりました。しかし、多くの魔術師たちに信仰されるようになります。アザエルは神の知識を持ち、それを一度人に教えた。ならもう一度という事でしょう。確かに神の知識を得れば力が増すのなら当然のことかもしれませんが。
posted by 九十九屋さんた at 08:33| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/36878471

この記事へのトラックバック