「始めましてルシファーさま」
「うむ。ダンテ以来の生あるものの来訪だからな。歓迎するぞ。」
「ありがとうございます。まず、あなたが堕天した理由をお聞きしたいのですが」
「神に反抗したかった」
「うむうむ」
「人類が憎かった」
「うむうむ」
「罪を清める場所を作るためだ」
「はあ」
「神の計画の一部さ」
「え・・?。矛盾してますね?」
「好きなものを選んでくれと言っているのだ」
「それまた随分無責任な」
「無責任ではないよ。我々も神も見るものがいるからこそ様様な事象を招く」
「つまりは全ては人間の意向だと」
「私自身言えるのは暁に光る星を見て君がどう感じるかということだけだ」
「つまりあなたはわれわれ人間の鑑だと?」
「それもまた君たちが決めることだ」
〜そは暁の星〜 [由来]
ルシファーは暁の星と言われています。この名前には光をもたらすものという意味のラテン語で『光を掲げるもの』という意味で、「明けの明星」、金星の事を示しています。
名前から分かるようにルシファーは天界で最高の地位にあるものでした。そんな彼がどうして堕天使と呼ばれるようになったか。それは傲慢の罪であったといいます。神の座の右側に座ることを許されていたルシファーは自らがその座につきたいと、傲慢の罪を覚え、地上に落とされたのです。
何かすっきりしないでしょ?。実はこのルシファーと神の関係はある神話の焼き直しといいます。それが双子神と太陽神といわれる話です。
明けの明星の神は太陽の神に成り代わることを考え、太陽の神に戦いを挑むのですが、敗れ天界から落とされるのです。弟の暮れの明星の神はそのまま天界に留まり太陽の神に仕えたといいます。これがキリスト教にも残り、ルシファーとミカエルは兄弟という設定となっているのです。
赤い身体に、黒いこうもりの翼という現在のデザインに変化したのは1100年代で、もともとは天使の姿だったんですね。
〜サタンとルシファー〜 [余談]
悪魔の王がルシファーであると始めてきいた時、あれって思いませんでした?
自分は何かサタンがトップだと思っていて最初ルシファーの名前を聞いた時は違和感がありました。
なぜ、サタンがルシファーと同一視されたのかというと『ルカによる福音所』の中にルシファーがおちていく画面を、「サタンが稲妻のように天界から落ちていくのを見ていた」という記述があります。この言葉が旧約聖書にあるサタン(敵対者)の事とされ、二つは同一視されたのです。
とはいえ、サタンはもともと悪の首領などではなく、神に許される範囲で人間に苦難を与える存在でした。それがここまで強力な存在になったのは神が強力になったせいです。神が絶対の力を持つにも関わらず、世界は悪に満ちています。その神に対抗するためには悪もまた力を大きくしなければならなかったのです。
これはグノーシス教に被れたようにとられるかもしれませんが、人間が智恵の実を食べたのは蛇=ルシファー(サタン)の誘惑の為といわれています。彼が明けの明星と呼ばれるのは人間の目覚めという暁をもたらしたせいかもしれません。
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