2005年05月04日

マミー ミイラ男

SS おぞましきもの

 顔のないスフィンクスが墓を護衛するように置かれている。それが私の求める場所についた事を示していた。

 私は遂に辿り着いたのだ。黒いファラオ、歴史より抹殺されたネフレン・カの墓所に。

 彼は邪神ナイアラルトッテップを信仰し、おぞましい儀式に耽ったという。その死後、彼の墓所は破壊され、そ儀式により作り出された数多の存在ともども葬られたという。

 だが、彼が残した膨大な技術は人類に知られざる超古代の存在の英知を蘇らしたものという。

 そこには人類誕生以前の知識があるはずだった。

 私はそんな事を考えながら墓所を潜った。

 かび臭い空気の中、現れたのは一つの棺だった。私は高まる鼓動を感じながら近づいていった。棺の蓋を開ける。

 その時、私は感じていた。これは人の触れていいものではないと。

 だが、もうその決心も遅いもののようだった。そう棺から起き上がったもの。包帯で巻かれた巨大な何かの手が私に伸びていく。



〜蘇りし恐怖〜[由来]

 マミーとは、簡単にいえばミイラ男です。包帯にまかれたその下の乾ききった体をしたものです。では、ミイラとは何でしょう?

 ミイラは生き返るまでの保存段階の事だったのですが、それに魂が戻らず邪悪な存在になったのがマミーとされています。その誕生はミイラの呪いが発端のようです。 墓は副葬品の黄金にも価値があるのは当然のこと、ミイラ自体にも薬や染料として商品価値がありました。そのため墓泥棒が尽きることはありませんでした。その墓泥棒対策には様様な策が使われました。例えば建設に従事した奴隷を殺し、秘密が漏れないようにしたりです。そしてその一つに呪いがあります。

『王の眠りを妨げるものに死の翼ふれん』

 で始まるツタン・カーメンのものが有名でしょう。これは1923年、イギリスの考古学者ロバート・カーターとカーナヴォン卿が、まだ盗掘されていなかった少年王ツタンカーメンの墓をカイロ近くで発見した時から始まります。

 カーターの家考古学者のブレステッドは人間の声に酷似した悲鳴を聞きます。その声に家の後ろにいくとキングコブラに襲われるカナリアを見つけます。それお手始めにカイロには不穏な空気が流れ始めます。カーナヴォン卿は虫にかまれた傷口が悪化して死に至ります。彼が息を引き取る寸前カイロ中が停電になります。そして愛犬は見えない何かに怯えたように一声鳴くと息を引き取ります。

 こうした恐怖がミイラの包帯姿に向けられ、マミーというモンスターが誕生したのではないでしょうか。

 

〜ミイラ〜 [余談]

 古代エジプトでは魂は戻ってくるものとされていました。そして現世に帰ってきた魂が戻る肉体がないと困るという事でミイラ作りが進歩しました。戻ってきた魂が肉体がないと困るというのはキリスト教の発想とも似ていますね。そのために土葬にするのですから。

 そのようにミイラを考え始めたのは一つの神話が関係しています。それはオシリス神話と言われるものです。

 オシリスは神々の長子であり、自然を司る神でした。そのカリスマ振りはすさまじいもので一度会った人間をとりこにしたといいます。そして法を定め、人々にパンとワインの製法や建物の作り方を教えた文明の神でもありました。しかし彼が弟のセトの嫉妬により殺されてしまうのです。その肉片は14にも分かれエジプト中に散りました。これは種が大地にまかれたのを象徴したといいます。妻のイシスは必死に肉片を集めました。その過程でミイラ作りの技術が確定したのです。その後、オシリスは生の世界に飽きれたかのように死の世界の神となりました。同時に死=冬であり、豊かな実りの為の蓄えの象徴となり、農耕神としても信仰されるようになりました。
posted by 九十九屋さんた at 09:46| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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