2005年05月04日

トロル

SS 太陽を飲み込む者  

 ロディは剣を構えた。闇の中で光を照り返し、相手に見つからないように黒く刃を塗ったものの、この曇った夜空の下ではその心配も無かったようだ。

 ロディは相手が来るのを待っていた。

 旅の途中、暖かな食事と安らかな寝床を与えてくれた人々に感謝して、夜家畜を荒らすモンスターを退治すると決めたのである。

 暗がりの中から人を思わせる影が近づいてくる。ただ、その身体は闇の中だと言うのに迷う事無くまっすぐ向かってくる。

 ロディは地面を蹴り、一瞬で切り倒す。狙い違わず、その影は倒れる。

 闇の中、薄汚れた身体をしたそれは岩のような肌をしていた。

 不意にそれは立ち上がった。ロディは慌てて飛びのく。ロディの一撃は速やかに再生し、傷が見る間に消えていく。

 ロディは思い出した。トロルという種族が再生能力を持っていることに。そう彼らは太陽を飲み込もうと欲する闇の一族なのだ。 





 

〜太陽を飲み込む者〜[由来]

 トロルという言葉の意味は分かっていませんが、古エッダ『巫女の予言』ではフェンリルの元になったと思われる大天狼スケルもトロルと呼ばれています。スケルは太陽を食ったとされており、トロルが逆に太陽の光が苦手なのもおかしなことです。

 民間伝承によるとトロルはイヴの子であったと言われています。神がイヴの元を訪れたとき子供を紹介するように言われましたが、全てを紹介せずに何人かの子供を隠したといいます。神がいなくなった後、子供を隠していたところに行ったところ子供はいなくなっていました。神の眼に触れないものは人の眼にも触れる必要がないという神様の意地悪でその子達は人の来ない丘や谷に住ようになったのがトロルなのです。



 

〜イギリスと北欧〜 [余談]

 トロルは人間を見ると襲い掛かってくる凶暴な姿と、人の目に触れる事無くひっそりと生きている2つのイメージがあります。

 もともと北欧のトロルのイメージは、霧の巨人の落ちぶれた姿であり、白夜の夜にひっそりと徘徊し、遠い先祖を悼むという、いわば神の幽霊のようなものでした。

 そのトロルがイギリスに伝わるとゴブリンの親分のようなイメージになり、凶暴で人を食うようなものにと変わりました。そのイメージを更にト−ルキン教授が膨らましました。石から作られたトロルは、魂も心も知能もなく、ただ生肉を食らい、楽しむためだけに殺しを行うイメージを与えたのです。オークとホビットが対応していたように、トロルはドワーフに対応する存在といえます。

 やはりトロールと言えば『ムーミン』ではないでしょうか。内容に関しては説明もないほど有名ですよね。日本人に馴染み深いムーミントロールはトロルというよりは妖精の人当たりのいい面から作られているような気がしますけど、皆さんはどう思います?
posted by 九十九屋さんた at 09:41| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック