2005年05月04日

オーク

SS 冥府よりの使者  

 シャイア・アルフィードことシアは目を開けた。森の中で何らかの足音がする。しかし月星の光も差さぬ、この森ではその音の主を特定するのは難しそうだった。

 シアは小さく暗視の呪文を唱えた。

まるで夜の闇が消え去ったようにシアの目は明瞭な視界を得ていた。

 シアの周りを囲むように、オークの集団が現れていた。

 まるで欲望の固まりのようなその豚に似た顔、短い手足。単体での彼らはそれほど恐ろしい敵ではない。真に恐ろしいのは今のように団体で、なおかつ強力なリーダーに率いられたときだ。そうなれば今のように本調子でない魔法使い一人の自分では会いたくない連中だった。彼らの名はかつてこの世を徘徊した恐るべき死神の名を冠しているのだ。

 それでもシアは愛用のロッドを握った。

 このロッドをくれた青年は今自分を助けようと必死に戦っているはずだった。

「こんなところで立ち止まるわけにはいかない」

 シアは小さく呟くとゆっくりと呪文を唱え始めた。





 

〜冥府〜[由来]

 オークの名前の由来はローマの死の神であり、冥府を仕切る神オルクスから来ていると言われています。

 さてそのオルクスの名前はどこからきたかというと、バビロニアの地母神の一つである女神ポルキスからきました。それが公での地母神の信仰が禁止されると男性化されポルキュスと呼ばれるようになりました。ポルキュスはギリシア語で雄豚の事であり、女神にも生贄として豚が捧げられているのが混同し、オークは豚顔になったように思えます。



 

〜デフォルメされた記憶〜 [余談]

 オークは指輪物語に出てくるホビットと対立軸に存在する悪役ですが、ほとんど民間伝承には出てきません。その理由はオークがト−ルキン教授の創作のためです。

 そこで語られるオークは善悪のはっきりとした指輪物語世界の住人であるせいか、ホビットと対立する存在である悪ばかりの要素が与えられることになりました。それがオークの他の種族には残酷で、共食いすら辞さないと言った負の特徴として現れているのです。それでもトールキン教授はオークもホビットは同じ物といっているので、それを人間の二つのサイドの戯画と見るのは考えすぎでしょうか。

 

 オークが出てくるお勧めの小説は富士見書房のモンスターメーカの小説に出てくるオークたちです。彼らは勇猛な戦士の種族であり、人間のパワーゲームに巻き込まれる悲惨な種族です。
posted by 九十九屋さんた at 09:31| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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