2005年05月04日

巨人

SS 古き神たちの末裔  

 ロディ・ファーランドは息を吐いた。

 仲間のシアの命を救うために巨人たちのテリトリーを侵した事でその怒りを

受け、霧の晴れる事の無い山の奥へ奥へと追い詰められていった。

 それでもシアの命を救うには山の奥にある聖泉に辿り着かなくてはならなか

った。

 同行した魔術師のシアや、神官のアルとも離れたままだ。

 霧の中、巨人が姿を現した。

 巨人というのは簡単だがその姿は神を思わせる雄雄しさがある。

 ロディはイスタエフの剣を構え、巨人の前に飛び出した。

「何だ人間。命乞いか」

「いや。あなたがたの居場所を犯したことが怒るのは分かる。だが、僕は戻らなくてはならない」

 巨人は笑った気がした。そして巨人は戦うことも無く背を向ける。

「どういうことだ?」

 ロディの叫ぶに巨人は振り返った。

「神は自ら立ち上がるものを好む。我々もそうだ」

 そして巨人は消えていった。

 ロディは安堵を覚えた。シアもアルも自分できっと立ち向かうだろう。





〜絶滅〜[由来]

 巨人は実在しています。現在、確認されている中では3m近いといいます。そして中國の野人の存在も忘れるわけにはいかないでしょう。そして古代にも巨人は存在しました。

 ホモ・ギカンデスといわれる原人の一族は4〜6mはあったといいます。そんな彼らは、ホモ・サピエンスと争い敗れ絶滅していったのです。その理由は妊娠期間の差にあったといいます。人が生まれて一年余り成熟しないのに大して、ホモ・ギガンデスは妊娠期間が2年近かったといいます。その差が種の保存の差となったのです。

 神話として見ますと巨人族は、ギリシア神話のティターンの一族を始め、零落した神のようです。小人や妖精となったものもいるものいますが、威容を失わなかったものが、巨人として残ったのでしょう。ただ、彼らが幸いであったかといえば、そうではありません。聖書中のダビテ王に倒されたゴリアテや、騎士の物語にも巨人退治は多く見ることができます。

 

〜阿修羅〜 [余談]

 みなさんは阿修羅をご存知ですか?。奈良の興福寺にある阿修羅像が有名です。彼の静謐な表情は美しいですね。ところが中国の阿修羅は仏陀の足元にひれ伏すあまりよい姿ではありません。しかし、初めて仏に姿を与えたガンダーラ美術の時の姿は雄雄しく、我々の知る阿修羅のイメージに近いです。

 みなさんはアトラスをご存知ですが?。ギリシア神話に登場する西の涯に立ち世界を支え持つ巨人です。阿修羅がいるところ、それは仏の座しますところ=世界の下なのです。恐らく阿修羅の初期のモチーフには、ギリシア・ローマで育まれたアトラスが含まれているのではないでしょうか?

 巨人も阿修羅も、神に近い由来と力を持ちながら敗れた、罰を受けているものですから、こうした連想が働いたのかもしれません。

 巨人が出てくる話というと、日本では『ダイダラボッチ』ですね。創作のものはちょっと思いつかないのですが、やはり北欧神話の巨人がもっとも元気だと思えます。
posted by 九十九屋さんた at 09:22| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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