2005年05月04日

ミノタウロス

SS 迷宮の奥

 我はなぜ生まれたのだろうか?。そしてなぜ閉じ込められているのだろうか?

その疑問を闇の中、いったい何千回何万回繰り返した事だろう。

 時折送り込まれてくる人間はいたが、闇の中で長い間耐え切れず正気を失い死んでいった。

 死臭の中で狂わずに正気を失わなかったのはダイダロスという男の言葉によるものだ。

「いつかお前をここから開放するものが現れる」

 そして夢の中に現れる太陽の光。

 この二つが我を支えるものだった。

 足音がした。

 眼を開けると光が見えた。

 時折見える松明の光だけではなく、どこか鋭さを持った光。

 いつもと違うそれが我に希望を与えた。

 我は走っていく。光が我を迎え入れるように向かってくる。

 心臓に冷たいものが宿った。そして我は開放された。



〜狂恋〜[由来]

 ミノタウロスの起源はギリシア神話にあります。ミノスの牛と呼ばれる彼は、クレタ王ミノスの義理の子でありました。王権をかけてくれた島で戦っていた際、ポセイドン神に祈り、犠牲に捧げるという条件で一匹の牛を手に入れました。ところがその牛の立派さに、ミノスは犠牲に捧げず、違う牛を捧げました。約束を破ったミノスにポセイドンは怒りました。そして呪いが落ちたのです。ミノスの后パシパエは牛に欲情し、その思いは耐え難いものとなりました。その牛との交接の為にダイダロスは木の雌牛をつくり、想いを遂げさせたのです。そして生まれたのがミノタウロスでした。しかしミノタウロスは人食いの獣だったのです。そこでミノス王は当時、クレタの圧力を受けていたアテネイより、少年少女7人づつを生贄として出させたのです。

 ミノタウロスは牛面に人間の筋骨隆々とした身体でイメージされるミノタウロスですが、ギリシア神話では筋骨は隆々としているものの、顔は唇が捲りかえった事を除けば、顔は人のもので角の生えた人間という鬼に近い姿をしています。ただ足には蹄があったといいます。

 



〜クレタの牛〜[余談]

 ミノタウロスですが、最後はSSで語られたようにミノス王の娘アリアドネに力を借りたテセウスに殺されます。このテセウスがひどい男なんですよ。自分のために国を裏切った少女を置いていくなんて英雄じゃないですよね。

 その迷宮と思われるものがクレタ島に残っており、そこには牛が神聖視されていた姿を見る事ができます。後代、由来の忘れられた迷宮と牛が結び付けられ、こうしたミノタウロスの物語が生まれたのかもしれません。また、その迷宮もポセイドンの作とされております。

 迷宮は、どこか(神・彼方)への到達への困難さを示したものといいます。また、心の中でそれをイメージするための依代としたといいます。クレタ島にも昔はそうした教えがあったのではないでしょうか。
posted by 九十九屋さんた at 08:47| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック