2005年05月04日

スフィンクス

SS 予言

 吾がどうしてこのような姿になりながら彷徨う事になったか聞きたいと言うのか。良いだろう。教えよう。

 吾がテーバイに来た時は二つに噂が街に溢れておった。一つは国王が殺された事。もう一つはスフィンクスという怪物が現れ、人々に謎をかけもし答えられなければ食うと言う事だった。暫くすると怪物を倒したものが国王の座に着けるという。

 身に滾るものがあった吾はスフィンクスの住むという街の外れの丘に向かった。

 最初に見えたのは美しい女の顔だった。次いで豊かな胸。鳥の翼。獅子の胴体と脚が現れた。

 獅子の脚が繰り出されれ命はないと吾は思った。

「問う。朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足で歩く動物は何か」

 吾は悩んだ。答えが分からない。

「ならば我が糧となれ」

 スフィンクスの顔が近づき、生臭い息がかかった。その美しい瞳には吾が映っていた。

「吾」

 スフィンクスの動きが止まった。

「何と言った」

「吾・・・」

 そうだ吾は人間だ。

「人間だ。生まれた時は赤子で四つ足で歩き、やがて二本足で歩き、最後は杖をついて三つ足となる」

 スフィンクスは去り、そして死んだ。

 そして吾は王となり、人の身では許されぬ過ちを犯し、目を失った。

 そうスフィンクスの言葉こそ謎ではなく予言だったのだ。親に捨てられ獣のように過ごし、一人立ちし、いまは目を失い杖を使い三本足となった吾の。



〜王の象徴〜[由来]

 名前の由来ですが、エジプトではシェスプ・アンク(生ける彫像)と呼ばれており、これとギリシア語の「きつく縛る(Sphink)」が混じってスフィンクスになったといいます。ピラミッドもそうですが、エジプトの文物でありながら、記録に残り流布したのがギリシア語だったためですね。 

 スフィンクスはエジプトにおいては王権の象徴であったといいます。ギザ高原に作られたピラミッドの横にあるエジプトのスフィンクスですね。その姿は獅子の胴に、ファラオの顔です。そして向いている方向は太陽の昇る方となっております。ピラミッドを含めて一体全ての構造が太陽、つまりは王権を象徴するものになっています。 キマイラもそうだったですが権威あるものが零落してモンスターになることが多いですね。力を失ったものが反動のように忌まわれるのはいつの世でも変りませんね。



〜いくつもの姿〜[余談]

 スフィンクスはいくつかの姿があります。もっとも知られているのはギリシアのスフィンクス(人間の女性の顔にライオンの身体で有翼)。そしてアンドロスフィンクス(胴はライオンで人間の頭と手を持つ)。さらにクリオスフィンクス(胴はライオンで雄ヒツジの頭を持つ)。最後にヒエラコスフィンクス(胴はライオンで鷹の頭を持つ)。

 姿に負けず、いくつもの伝説があります。その中でもっとも有名なのはSSで出てきましたオイディプスの逸話ですね。謎に答えられない若者をむさぼり食いましたが、オイディプスに答えられ。身を投げて死にました。エジプトにおいてスフィンクスはウラヌスの娘でもあり、テュポンとエキドナの娘でもあります。メソポタミアにおいては、ティアマトの作り出した怪物の一つでありました。いえるのは常に彼女は災厄の側にいるものだということです。彼女の翼は感染する早さであり、その人間の顔はこっそり忍び寄ってくるような狡猾さを示します。そしてそのライオンの身体は遭えば死をもたらすのを示しているのです。そうスフィンクスは悪疫であり、伝染病の象徴なのです。
posted by 九十九屋さんた at 08:43| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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