2005年05月04日

ペガサス(ペガソス)

SS 翼の王

 ベレロポンは意識を集中する。

 空気は薄くなっていくのに身体を慣らさなくてはならない。

 自分が騎乗するペガサスの飛翔は気をぬけば天まで至るのだ。決して油断して乗っていいものではない。

 だが、今日目指すのはまさに天界あった。

 地上で行った無偉業。キマイラ退治、ソリュモン族の撃退、アマゾン族との征伐。既に地上に手の届かぬ栄誉は無くなっていた。

 かのヘラクレスが神になったように自分もまた神になるにふさわしい。大行の数こそヘラクレスに及ばぬもののそれは問題ないはずだった。

 ヘラクレスですら死してその人間であった肉体を焼き捨てた。こうして生きながら天界に上がり自力で神となるのは自分が最初であるはずだった。

 ペレロポンは既に過ちを犯していた。

 その力は一人のものではない。ペガサスと共にあって始めてかなうものだ。そして神は増長するものを嫌う。

 既に神の悪意が小さな虫の姿になって忍び寄っているのをベレロポンは知らなかった。 

    

〜メデューサの子〜[由来]

 メデューサはペルセウスにより退治されたモンスターです。ペガサスはその血より生まれました。メデューサは蛇であり、馬と関連がないと思われるかもしれません。しかす、メデューサはもともと女神でありました。もともとはポセイドンは馬と付き合いの深い神であります。アテネイの支配権を巡っての争いではポセイドンは駿馬を出しましたし、また豊かさの神であるデメテル神に関係を迫った際は馬に変身しております。そしてメデューサも含まれるゴルゴン姉妹の一人はエウリュアレは飛ぶ女と言われました。その2つの要素から、空を飛ぶ馬が生まれてもおかしいことではないのです。

 ペガサスは上昇する水蒸気に関連しているとも言われます。海や泉、川などから空にと向かっていく蒸気の流れが翼を持った馬のイメージになったのです。その証拠というわけではありませんが、ペガサスが高くなることを抑えたヘリコン山には泉があります。抑えるときに叩きつけた蹄の後から泉が湧き出し、それは芸術の女神であるミューズが霊感を得る場所ともなりました。



〜捧げられたもの〜[余談]

 ベレロフォンの出自についてはいくつか説がありますが、父がポセイドンであったという伝承が残されています。特異生まれ方とはいえ、メデューサとポセイドンの子であるペガサスを捕らえて使いこなせたのは、どこか血のつなががあったのかもしれません。

 さて、伝説上、ペガサスを乗りこなせた人間はベレロフォン一人ですが、それは黄金の鞍があったためです。父ポセイドンに与えられたとも、女神アテナに夢の中で与えられたともいえる鞍が無ければペガサスを扱うこともままならなかったのです。既にベレロフォンはその力を手に入れる段階で神の助けを借りているのに気付かなかったのが最後を決めたのかもしれません。

 SSのように慢心したベレロフォンは、神に命じられたアブのため、ペガサスの制御を失い地上に落ちました。そして彼は地上をさ迷い、最後は野馬に踏み殺されたといいます。

 ペガサスはゼウスに引き取られ、今でもその姿を見ることができます。そう夏空に輝くペガサス座です。
posted by 九十九屋さんた at 08:37| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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