2005年05月04日

ユニコーン

SS 暗殺用

 この平良の商館にはいろいろありますよ。

 例えば恋茄子(マンドラゴラ)とか、偽海亀とか、ロック鳥(鵬)の卵とか。

 嗜好品ばかりですって。そんなことはないですよ。切実なものもあります。

 その最たるものは、ユニコーンの角の杯と、それを粉にした薬です。どうしてこれらが高価かと言えば、杯の方はいれられた毒を解毒し、粉の方は既にとってしまったいかなる毒も解毒する効果があるからです。

 そんな効果はない。はあ、一角獣の角は水棲のイッカクの角とおっしゃるんですね?

 ようがす。では、1つユニコーンの角にかかわるお話しましょう。

あるご領主がよく使われた手だそうなのですが。毒殺の手段に使われたそうなんですよ。どう使ったですかって。

 料理に毒を仕込んでおくんです。勿論一緒に毒殺する相手と一緒に食べます。で、自分だけはユニコーンの角の食器を使うんですよ。ね。いい高級品なのが分かるでしょ。

    

〜月の獣〜[由来]

 ユニコーンの姿は白馬に一角で、乙女に従っていると、どこか穏やかなイメージだと思います。しかし初期のユニコーンは違っています。

 『もっとも獰猛な動物は一角獣である。その一突きは象をも殺す』とあります。色も全身真っ白ではなく、頭は鹿で色は紫、足は象、尾はイノシシとなっています。今日の白馬のイメージが成立したのは遅くても16世紀頃と思われています。そして純潔な乙女が捕らえる事ができるとイメージされたのもこの頃のようです。

 ユニコーンがいるとされたのはインド。これはインドにはサイがおり、その姿が投影されたせいかもしれません。そしてエチオピアの月の山とも言われています。さらには砂漠に住むともされますが、常に単独でいる事が多いです。それはユニコーンが月を象徴とするものであるからでしょう。夜空の月の寂しさは、実在しないユニコーンにそのイメージを付与したのでしょう。

 天敵はライオンといわれており、ヘリオポリスの遺跡にも残っており対立は根深いです。これはユニコーンが月を、ライオンが太陽を象徴とする神話に関連があるのでしょう。中世の寓話にはライオンにからかわれるユニコーンの話となって残っています。それを知っているとイギリス王室の紋章に描かれたライオンとユニコーンがどこか皮肉に見えてきますね。ユニコーンはスコットランド、ライオンがイングランドを示すものですから。  



〜角の秘密〜[余談]

 ユニコーンの一角は男性の象徴であり、乙女によって捕まえられるのはその情欲により支配されているためなのです。

 ユニコーンの絵を見ていると乙女と描かれている事よりも単体でかかれていることが多いことに気付きます。そのユニコーンの絵は囲いに覆われている事が多いです。これはユニコーンが野生の象徴であり、木という理性に縛られ、知識という柵におさまる事でコントロールされた状態である人間を寓意した事

といいます。 

 角の効用は解毒といわれています。もともとユニコーンの角は蛇の毒に対して解毒作用がありました。蛇が水を飲んだ泉はその毒が伝わり、他の生き物が飲めなくなるといいます。ユニコーンは角で十字を切った後、泉に角をひたします。その効用で、泉が浄化された後、他の動物たちは水を飲むのです。その話が残り、ユニコーンの角は粉にして飲めば万能の薬となり、角で作った食器は解毒作用を持つといわれるようになりました。中世の薬屋のリストにはユニコーンの角を見ることができます。これは実際は海生の哺乳類であるイッカクの角といわれています。

 
posted by 九十九屋さんた at 08:37| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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