2005年05月01日

恋愛10選 08.もう、見たくない

「本当になってしまったんだね」

 その獲物はしぶとかった。私は剣の精。触れたものをすべて切り裂くもの。だが、その獲物は切り裂けない。

 多くの御使いたちを私は滅ぼした。それはもう自然なこと。敵は敵だ。

 しかし、早さも強さもはるかに劣るそれに対して何もできないとは。なんという腑抜けか。

 私は熾天使の瞳から作りだされた最強の存在だ。彼の怨嗟を受けて、あの妬ましいものの作り出した全ての創造物を破壊する。

 距離をとった。全力を解放すればこの場も壊れるが、すべては終わる。

「もう見たくない」

 獲物はこちらが魔力を高めているのに近づいてくる。まったくばかな獲物だ。

「朱に交じり笑う君を」

 魔力の集まった手を握った。獲物の手は傷ついていないわけではなかった。もう腕は裂け血は出ている。どうしてそんなことをするのか。

 意味のないあまたの行為が思い出された。

 私は何をしているの?

 何か悲しくて飛び出して、そうだ私は。目の前それが分かる。四郎さま。

 しかしもう遅い。魔力は解放された。
posted by 九十九屋さんた at 09:05| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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