2005年05月01日

恋愛10選 01.初めて目のあった瞬間に

キルシュ http://www.geocities.jp/ruckwartsgang/



 管理人の挑戦状 恋愛10選 をつかわせて貰いました。





 久々に店にたどり着いた客は制服姿の二人組だった。

 その格好は店、魔具を扱うこの店には不釣合いなものだ。魔具は名のように魔を宿した武器だ。ここにきたものは総じて強い意志を持っていた。いや、その意思がなければ魔具に心を食われ、その魔具の傀儡となる。

 この二人はどうなのだろう。

 学生服姿の方はどこか人形めいた雰囲気を持っていて、強さがまなざしに出ている。体つきは小柄な方で、同じ年代の女性よりも細いかもしれない。こちらはここにこれても不思議はないように思えた。

 ブレザーを着たほうががっしりとした割合背の高い。こちらは強くない。瞬間にそう思った。付き合わされたような雰囲気がある。だから、どこか他人事で、こちらを見る目には好奇心がある。

 その視線を受けながら仕掛けた。手刀は簡単に肩に入っている。直撃だ。反応すらできなかった。思った通り弱い。そう思って離れようとすると手を掴まれた。捕らえるとかそういうのではなく本当に優しく。

 疑問が頭を駆け巡った。篭絡するためか、媚びているのか、それとも何かの手なのだろうか。ただの好色か。

 確かめようと目を見ると、何の害意もない。

「女の子は乱暴にしないほうがいい」

 そう聞く顔は本当に自然で何の気負いもない。

「また、四郎さんの説教が始まったよ。すぐ他人に理想を押し付けるんだから」

「女の子は大切にするって言うのがじいちゃんの遺言なんだ」

「はいはい。ねえ、君、店主はいるかな。この天見四郎さんの為の武器が欲しいんだけど」

「はい」

 奥に入って主人を呼ぼうとしたが、手を離してくれない。強く引っ張った。

「ああ、ごめん」 

 

 主人は見立をする目で天見四郎を見ている。あぐねているのだろう。ここにこれたのは雹と呼ばれた同行者の力のせいで彼のものではないのはわかっているのだろう。

「分かりました。お好きな武器をどうぞ。この部屋にあるもので武器になるものならかまいませんよ」

 天見四郎はそれなりものらしい。

「この部屋にあるものなら構いません」

 天見四郎はこちらを見た。

「彼女でもですか」

 主人は嬉しそうに笑った。

「ああ、これが武器であるのが分かるのでしたら、十分ですね」

 そう私は武器だ。今はワンピースをつけて、エプロンやリボンをつけて人の姿をとっているが、これは仮初に姿に過ぎない。

「名を与えてください。そうすればこれはあなたのものです」

「武器って彼女が?」

「ええそうです」

 初めて感じた感情はきっと殺意だった。

 それは錯覚だ。武器には意思はない。名をつけられればその瞬間から私は天見四郎の道具となる。天見四郎は私を見ながらいった。

「甕星、天津甕星」
posted by 九十九屋さんた at 07:44| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック