2005年04月30日

タラスクス

SS 聖女の奇跡  

 ローヌ河の川辺から見える渦は全てを吸い込むように思えます。それが地獄の門のように思えるのはわたしの気のせいではないでしょう。

 渦の周りに引き寄せらているタラスクスの食べ残しであるは人間の四肢や胴などが見えます。

 わたしは祈りました。彼らができるだけいい状態で天国、最悪煉獄にはいけるようにと。復活の時に欠けるのは大変と思うけど、それは最初にして最後の主にお任せしましょう。

 わたしができるのはここでタラスクスを止めることだけすから。

 人が言うようにタラスクスは邪悪な生き物なのでしょうか?。神は7日で世界を作られたといいます。それならタラスクスもまた我々と同じ神の子なのではないでしょうか。

 そう思っていると渦の中から煙のようなものが上がり始めました。

 苦しくなっていく息を感じながらわたしは出てくるタラスクスを見ました。

 それはワニに似ていました。しかし、その足は六本で爪とも刺ともつかないものがはえています。

 それは足を突き出しました。自分の足元が一気に崩れます。

 わたしなど受けたらすぐに御許に召される事になるでしょう。やはりこれは悪なのだ。

 そう思ったわたしはタラスクスに向かい聖水を振り掛けました。邪悪なものならそれで傷つくはずです。しかしタラスクスは動きが静まっています。

 わたしはじっとタラスクスを見ました。タラスクスは傷をおっています。わたしは十字架を差し出しました。神の奇跡を願うと、タラスクスの傷がいえていきます。この傷がこのドラゴンを狂乱させていたのでしょう。

「もうだいじょうぶ」

 タラスクスに向かいわたしは帯をかけました。こうしているところを見ればきっと人も安心してくれるでしょう。

 

〜リヴァイアサンの子供〜[由来]

 タラスクスはリヴァイアサンとロバのあいのこと言われる魔物です。顎にはワニのような牙が生え、甲羅のような鱗は全身を包んでいます。6本ある小さな足には鋭い爪があるといいます。吐き出す空気には毒があり、その糞は燃え上がったといいます。

 伝説によると聖女マルタによりかけられた帯は鉄のように硬くなり、タラスクスの動きを奪いました。そして地元の人々から石を投げられ殺されてしまったそうです。

 その程度の防御力なら遠くから弓の一斉射撃とかで片付けられたのではない

かと思いませんか?。実はそれには理由があるのです。





〜イギリスと北欧〜 [余談]

 キリスト教の中ではドラゴンは悪の象徴と言われています。そのため聖ジョージ、聖マルガレータ、聖ダニエルなどがドラゴン退治をしています。その中でももっとも恐ろしいものとれるのは黙示録のドラゴンでしょうか。

 ドラゴンが悪役となったのはキリスト教のもととなったユダヤ教に関係しています。ユダヤ人はオリエントの民でした。その当時、彼らが信仰した神マルドゥークやバールが、戦ったのがいずれもドラゴンでした。そこで分かりやすい悪の例えとして、ドラゴンが上げられたのです。

 聖者がドラゴンを退治するのが、キリスト教が布教活動する中で力を示すために使われました。その中で遠距離から弓で殺してはだめだったわけですね。あくまでもそれを退治するのは神の助力があったからこそなのですから、正々堂々と渡り合う必要があったのです。
posted by 九十九屋さんた at 17:46| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 白澤図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック